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2022年9月定例会報告

 秋の訪れとともに寒暖の差が大きい日が続いております。

 今秋は久々にお祭りをはじめさまざまなイベントが開催され、顔を合わせての交流や、にぎわいも戻りつつあるようです。一方で第8波への懸念もあり、引き続き新型コロナ感染症予防に留意しながら、日常を楽しめる状況に向かうことを願っております。

 9月議会は9月1日から27日間にわたり開催され、令和3年度の決算認定を含む議案23件、報告2件を審議し、すべての議案を原案可決・認定しました。

 

9月定例会の主な議案から

 

【和光市総合体育館の指定管理者の指定】

全会一致で可決

 

 総合体育館の指定管理者は、引き続き、「セイカスポーツセンター・クリーン工房共同事業体」に決まりました。指定期間は令和5年4月1日から令和10年3月31日までです。

 

【令和4年度埼玉県和光市一般会計補正予算(第6号)】

可否同数 議長裁決で可決

 

 員の分限休職処分(※)無効確認等請求事件について、今般上告棄却により原判決が確定したことで賠償金の支払いが発生するため、人事管理費を320万円増額補正するもの。市の支払い義務が確定しており賛成せざるを得ないとの判断で、会派「新しい風・希望」は賛成しました。

 (※)分限休職=職員としての身分を保有させたまま、職務に従事させないこと。

 

待鳥よしこの一般質問 1

ハラスメント防止対策

 

Q:

 元市職員による一連の不祥事発覚後の市役所におけるハラスメント被害について、相談件数も含め現状を伺います。

A(総務部長):

 不祥事発覚後のハラスメント被害申出は3件、ハラスメント相談件数は、令和2年度7件、令和3年度は5件、令和4年度は2件です。

Q:

 9月1日より運用開始となった新たなハラスメント対応のフローを伺います。またこれまで相談した事実がハラスメント行為者にわかってしまうことがハラスメント被害処理委員会への申出のネックになっていましたが、その点への対応を伺います。 

A(総務部長):

 相談者は、相談窓口である職員課長、メンタルヘルス相談のカウンセラー、外部の弁護士のいずれかへの相談を経た後、ハラスメント被害処理委員会へ申出を行います。そこで外部の弁護士の意見等を求めながら事実確認、検討を行い、市長に報告し、ハラスメントの事実が確認された場合は対応措置を講じることになります。相談については匿名での対応を図っていますが、処理委員会への申出にあたっては事実関係の確認が必要となるので、申出者の名前が出てしまうことにならざるを得ないとの認識です。

Q:

 現在のハラスメント被害処理委員会設置要綱では対応できない部長職以上の行為や申出者の秘匿の申出に対応できる、実効性ある制度の検討が急務だと思います。ハラスメント防止に関する基本指針の策定は今後どのように進めていくのか伺います。

 A(総務部長):

 ハラスメント防止に関する指針は厚生労働省指針、人事院リーフレット及び他市の事例等を参考に策定作業を進めてまいります。ハラスメント防止要綱は指針の策定に合わせ必要な改正を行ってまいります。また被害処理委員会設置要綱については、上位職によるハラスメント事案への対応が可能となるよう改正していきたいと考えています。事実確認をすることで申出事実が行為者に知られてしまうことになりますが、市としては行為者から申出者を守ることは大変重要だと認識しており、その最善の方策を検討し要綱改正を検討してまいります。

 

待鳥よしこの一般質問 2

個人情報保護法改正に伴う市の対応

 

Q:

 個人情報保護法改正に伴い自治体の個人情報保護についても国が法で規律することになり、全体の所管が個人情報保護委員会に一元化され、令和5年4月の改正法施行までに各地方公共団体の既存の条例の規定について棚卸することになります。個人情報保護制度は、国より自治体が地域のニーズに対応して先導的に取り組んできた重要施策です。市としての考え方、また市の裁量として維持していく点について伺います。

A(総務部長):

 当市では平成13年度に試行された和光市個人情報保護条例に基づき適切に運用してまいりましたが、今後は国のガイドライン等に基づき制度を運用することになり、市に裁量がある事項については限りがありますが、現行の和光市の個人情報保護制度の水準を下回ることないよう適正な取り扱いをしていきたいと考えております。審議会等への諮問については、現審議会の答申をいただいた上で、新たな審議会等の合議制の機関の在り方を見直す予定です。また開示請求における手数料(コピー代等実費負担のみ)と開示決定等の期限(開示請求のあった日から14日以内)については市の裁量として従来通りの水準を維持することとしています。

Q:

 当市の公募市民委員を含めた審議会は個人情報の個別事案に対するチェック機能を果たしてきただけではなく、個人情報を扱う政策への住民参加や情報公開の機能も果たしてきており、個人情報自治に住民が参加する当市の歴史や地方自治の独自性を尊重してほしい旨の答申が出ております。地方自治・住民参加・情報公開の理念、それぞれの地方自治体の特性や歴史、憲法に規定する地方自治の本旨の見地から、今回の法改正に伴う当市の個人情報保護政策の在り方と今後の運用について市長の見解を伺います。

A(市長):

 今回の法改正の目的の一つである社会全体のデジタル化に対応した個人情報保護とデータ流通の両立が必要とされていること、大規模災害時等に迅速な対応を期待できること、法改正のもと制度が統一され住民にとってわかりやすくなること等のさまざまなメリットは認識しております。一方、地方が先導的に進めてきた個人情報保護制度を一律にすることで地方公共団体の自主性が尊重されなかったことについては残念にも思っております。市民の個人情報を守ることを主眼とし、併せてオープンデータ利活用等も視野に入れた政策を進めていきたいと考えています。今後は原則国のガイドライン等に沿った運用となりますが、当市が培ってきた個人情報保護制度の水準を維持するよう適切に運用し、市民本位の姿勢で進めてまいりたいと考えています。

 

待鳥よしこの一般質問 3

行政改革 ~審議会等の設置根拠・基準の明確化~

 

Q:

 地方自治法は執行機関の要請により調停、審査、審議または調査等を行う付属機関について規定しており、法律または条例により設置されるこれらの機関の構成員は非常勤特別職として報酬が支払われます。一方、要綱等により外部の者も委員あるいは構成員として加わる委員会、協議会等を設置している例は多く、これらは機関とは区別して行政運営上の意見聴取、情報や政策等に関して助言を求める等の場として設けられるもので、自治法に違反するものではないという学説がある一方、要綱設置の審議会は地方自治法上の付属機関に該当すると判断して条例により設置していないことを違法とする裁判例が出ており、これらの委員会等に係る支出も違法とする地裁・高裁判決が出ています。

 当市においても条例設置の審議会等と要綱設置の協議会・懇話会等が多数ありますが、その設置と運営の指針等基準を明確にしたものはあるのか、またどのような基準により設置、運営しているのか、現況を伺います。またそれぞれの委員の身分、報酬の基準を伺います。

A(企画部長):

 現在当市では審議会等の設置及び運営の基準を明確に整理した定めはない状況です。会議体を設置する際には、その設置目的、根拠法等を踏まえ、地方自治法に基づき付属機関を設置する場合は条例を制定するなど、それぞれ適切な例規を定めて会議体を設置運営しているところです。委員の身分の明確化についても当市で定めた基準はありませんが、ご指摘の通り会議体の設置、運営に係る判例等もあることから、他の自治体における事例等を研究し、当市における基準等の策定について今後検討してまいります。報酬・報償費について、条例設置の審議会等の委員報酬は「和光市特別職の職員で非常勤の者の報酬及び費用弁償に関する条例」に定める額とし、要綱設置の協議会、懇話会等の委員の報償費については、平成18年10月に策定した「謝礼支払い基準」を参考に、会議体ごとに予算の範囲内で金額を設定しております。謝礼が発生しないケースについては現段階では基準等は特に設けておりませんが、会議体の設置・運営に関する基準の策定とあわせて今後検討していきます。

Q:

 平成24年3月の第四期市民参加推進会議の答申では、審議会等の会議における報酬の差について、要綱設置の委員会等には条例設置の審議会と比べて委員構成や審議内容に差がないものも多く、実質的に差がないなら条例設置の審議会に準ずる報酬を支払うことが妥当とされ、市はこの答申への対応として、今後調査し検討を行うと報告しています。その後の検討状況を伺います。

A(企画部長):

 第四期市民参加推進会議の答申に対する市の対応について当時の記録等を確認しましたが、検討についての内容が確認できませんでした。この時点で十分な検討がされていなかった状況です。謝礼支払い基準については平成20年以降改正を行っていない現状ですので、会議体の設置運営に関する基準の策定とあわせ、今後確実に検討していきます。

 

◎〔申入れ事項〕市民参加推進会議は正式に諮問を受けて答申し、それに対する対応状況に明記されているにもかかわらず検討の形跡がないことは大変遺憾です。委員が担う実質的な負担等の差がないのに報酬に差があるケース、自分の仕事を休んだり代行を立てたりして出席せざるを得ない方も委員になっている状況を踏まえ、市民に納得のいく説明ができる形で整理していただくこと、明文化された基準の策定に向け確実に検討実施していただくことを求めました。

 

待鳥よしこの一般質問 4

地域公共交通政策

 

Q:

 市内循環バスの運賃について、受益者負担による事業性の確保を通して持続可能な運行や利便性向上を図るとのことですが、高齢者の負担はどの程度を考えているのか、また現在の循環バスの収支率(※)は11%ということですが、どの程度の収支率を目標値と設定しているのか伺います。

(※)経常支出に対する経常収入の割合のこと。

A(建設部審議監):

 循環バスの運賃は東武バスの初乗り運賃に合わせ、大人180円、子ども90円を考えています。70歳以上の高齢者は見直し後の料金の半額程度、障害者については引き続き無料乗車証の対象とする予定。見直し後の収支率の目標値は現状では概ね20%程度です。

Q:

 新たな移動手段の導入にあたっては、エリア限定ではなく、住民の移動ニーズに対する質的・量的な調査分析を十分に行い、住民の生活を守るためにどのような移動手段が必要かを議論していくことが必要だと考えます。現在の検討状況、市の考え方を伺います。

A(建設部審議監):

 循環バスのルート見直しを踏まえ、まずは公共交通空白地域及び移動需要の小さい地域で導入することを考えています。一方、既存の公共交通の有無にかかわらず移動に困難を抱える方は多くおられるので、福祉部局と連携してこうした方々のニーズを把握し、新たな移動手段の導入がよいのか、既存の福祉交通施策の見直しや拡充がよいのかを含めて移動支援策を検討し、交通弱者が気軽に外出できる交通環境を進めてまいります。その中でデマンド型(※)タクシーについても考えてまいります。

(※)利用者の事前予約に応じた運行経路やスケジュールで運行すること。

Q:

 EST(環境的に持続可能な交通)への取組について、環境負荷削減のための交通施策のあり方は地域によって異なり、適切な施策を見出すためには、各交通活動の環境負荷を定量評価し、施策実施による変化を予測できることが必要です。環境負荷削減に資する交通施策を普及推進するため、OECDではESTガイドラインを定め、日本でもEST普及推進委員会が国土交通省と環境省の支援により活動しています。持続可能性な交通活動にEST推進は必要な取組であり、地域公共交通網を組み立てていく上でも重要な視点だと考えますが、現状を踏まえ市の見解を伺います。

A(建設部審議監):

 自動車メーカーによる技術革新が進められていますが、人ひとりの輸送当たりの二酸化炭素排出量はマイカー利用はバスの約2.5倍と言われています。今後、環境的に持続可能な交通への転換を進めるべく、市民が公共交通を賢く利用するための意識変化を促すモビリティマネジメント(※)に、地域や企業、学校等と連携して取り組む必要があると考えています。

(※)多様な交通施策を活用して個人や組織・地域の移動状況が社会にも個人にも望ましい方向に自発的に変化することを促す取組。

 

◎〔申入れ事項〕市内交通網を苦心して作り上げても利用されなければ持続可能なものとして維持していくことは難しく、市民と意見交換しながら循環バスのルートや新たな移動手段について検討していくことは交通網を今後長く支えていく市民を増やしていくことにもなるので、市民との意見交換の場を大事にして進めていただくことを要望しました。

 

◆12月定例会は11月24日(木)開会予定です。

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