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2021年12月定例会報告

 年明け早々からオミクロン株による感染の急拡大が見られ、第5波を上回る感染者数が日々発表されています。3回目のワクチン接種も始まりますが、まだまだ忍耐の日々が続きそうです。

 12月議会は、12月2日(木)から21日(火)まで20日間にわたって開催され、市長提出議案16件、陳情1件(趣旨採択)、議員提出議案(決議案)1件を審議し、2件の条例改正案を否決、その他の議案については可決しました。尚、6月議会に提出され継続審議になっていた「元和光市職員の不祥事に関する調査特別委員会を地方自治法第百条に定められた委員会として開催することに関する陳情」は採択されました。

 

12月定例会の主な議案から

 

【和光市在宅重度心身障害者手当支給条例の一部改正】

否決(賛成4名で少数)

 

 在宅重度心身障害者手当(従来は、県の補助金要綱では対象にならない方々への市独自の横出し、限度額5,000円を超える市の上乗せ分3,000円を含め、一律8,000円と手厚い手当支給を行ってきました)について、一律5,000円とする見直し案です。

 私たち会派(新しい風・希望)は本議案に賛成しました。年々障害者数が増加し、とりわけ児童の障害福祉サービス利用が急激に増えている中で、相談支援専門員等の数が不足し、申請から支給決定までの期間が従来より1か月ほど長い3か月程度を要する事態となっています。今回の条例改正により約3,000万円の財源が生み出されれば、相談員等の増員に充てたいと担当課長の答弁がありました。また福祉全体を見れば、ケアラー支援、医療的ケア児支援、女性や子どもの貧困問題等、対応が必要な新たな課題がさまざま出てきている現状です。今回の見直しは当事者の方々に対しては大変心苦しい選択でしたが、支援を必要とする子どもたちや新たに障害を負った方々にもすみやかに支援を開始し当事者や家族の不安に寄り添う相談支援の拡充は喫緊の課題であると考え、ひとりも取り残さない障害福祉のさらなる充実を願い原案に賛成しましたが、結果は反対多数で否決となりました。

 

【和光市勤労福祉センター条例の一部改正】

否決(賛成7名で少数)

 

 令和3年度で現行の指定管理者の指定期間が満了するのに伴い、同センターの運営を市の直営に変更し、アスレチックルーム、浴室の設備を廃止して会議室等の貸し室機能に絞る内容の条例変更です。施設設備の老朽化により、今後従来通りの運営を継続するには多大な経費が見込まれること等から、会派「新しい風・希望」では、今後の運営について検討していく上でやむを得ないと判断して賛成しました。結果は、緑風会、共産党、一人会派の反対9名で否決となりました。

 

◆請願・陳情の審査

 

<和光市職員の不祥事に関する調査特別委員会を地方自治法第百条に定められた委員会として開催することに関する陳情>

採択

 

6月、9月と継続審査となっていましたが、地方自治法第98条に基づく特別委員会の検査が一段落したことから、今回地方自治法第百条に基づく調査を行うことを委員会で合意し、陳情を採択しました。開会日に議員提出議案として「元和光市職員の不祥事に関する調査に関する決議」を全会一致で可決しました。

 

<「市役所事業総点検」見直しに関する陳情>

趣旨採択

 

陳情書の要旨は、「決定に際しては今後市民の声を取り入れて決定するよう議会として求めていくよう要望する」としているが、署名用紙は「事業点検の白紙撤回を求めます」となっており、陳情の趣旨が不明確であること、また和光版MaaS事業に関して、議会が予算を可決しているにもかかわらず「議員や市民の合意形成もなく推進されようとしている」とあり矛盾があることから、会派「新しい風・希望」は趣旨採択には賛成しませんでした。

 

待鳥よしこの一般質問 1

市役所事業総点検

 

<事業総点検の手法、政策決定までのプロセスについて>

Q:

 市長公約である市役所事業総点検について、具体的な対応方針決定までのプロセスを、その過程での担当課や現場職員の関わり方を含め伺います。

A(企画部長):

 令和3年7月8日付の市長通知により、総点検の見直しの視点を示したうえで全課所に「市役所事業総点検調書」の提出を求め、8月にそれを基礎資料として行政経営会議(市長、副市長、企画部長)による部局長ヒアリングを実施、9月22日の第4回行政経営会議でヒアリングにおける議論を踏まえ総点検の結果案を策定、その後見直しの対応方針の内容を関係課所に確認し、10月1日の政策会議で結果を決定しました。

Q:

 今回結果公表までの過程で市民参加が行われた記録はないが、市民参加条例で対象事項とされる案件は含まれていないのか、また市民参加についての考え方を伺います。

A:

 市民参加条例第6条に規定する対象事項に該当する事業はありません。対応方針までは行政主導で検討しましたが、具体的な対応については、①現在の社会情勢に明らかに即していない事項②内部手続等における事務改善のような取り組み等、を除き市民説明や事業の関係者との協議等により決定していくと考えています。

Q:

 今回事業点検結果による条例改正案が2件上程されたが、今のご答弁と矛盾はないか伺います。

A:

 在宅重度障害者手当支給条例一部改正(※)については、手当の水準が公平性等の観点で現在の社会情勢に明らかに即していないことから、市民説明等が行われなかったものと認識しています。勤労福祉センター条例の一部改正(※)については、利用者へのお知らせや現状の指定管理者との協議等についてはこれまである程度取り組んでいると認識しています。個々の事業の前提、状況等を総合的に勘案して判断されるべきと考えています。

(※)上記2議案は結果的に前述のとおり否決されました。

 

<市役所事業総点検については、以下の事業項目について確認しました>

  • 協働事業提案制度の廃止と今後の協働推進の方向性。
    • 協働指針は市民や活動団体等の意見を取り入れ実効性のあるものにしていく必要があり、来年度からワークショップを開催し幅広く意見を取り入れて、令和5年度中の策定を予定。
  • B&G事業終了の方向性とこれまでの実績、成果。
    (B&G事業は主に小学校低学年の児童を対象に子どもたちが安心して過ごせる環境で自己肯定感、人や社会と関わる力、生活習慣、学習習慣など将来の自立に向けて生き抜く力を育む子ども第三の居場所を設置開設し運営する事業。当市の拠点では2018年9月から今年度まで日本財団の助成事業として行っています。)
    • 助成金は今年度で終了するが、「在籍児童や今後も支援を必要とする児童がいることも踏まえ、得られた知見を効果的に活用できるよう、市と事業者で今後の子どもの居場所づくりの検討を続けていく。その中で対象児童について学校の先生と施設スタッフで定期的に情報共有の機会を設け必要な支援につなげていくことを検討していく」と答弁がありました。
  • プレーパーク事業規模見直し。
    新たに総合児童センター敷地内にプレーパークを常設したことにより、令和4年度から中央エリアの部分のみ現状の委託事業を縮小予定。児童センターのプレーパークには通常はプレーリーダー等の配置がなく、「常設」と言えるのか疑問が残ります。「児童センターには児童厚生員が常駐するほか、来年度からは館外での遊びを見守るボランティア・スタッフの配置も予定。子どもの自主性を尊重した自由な遊びと、命の危険性の回避や緊急時の対応を行うことによる子どもの安全の二つを担保して運営していくものと考えている」との答弁でした。
  • その他、子ども基点で考える子育て研究会退会、私道舗装補修他工事の廃止について。
    詳細は会議録でご確認ください。

 

待鳥よしこの一般質問 2

公共交通政策

 

Q:

 市内循環バスについての市の基本的考え方と予算、見直しスケジュールを伺います。

A(建設部審議監):

市内循環バスの改善については、現在策定中の和光市地域公共交通計画において、移動ニーズを考慮したコース設定、コンパクトな運行による長大な運行時間の解消、運行本数の増加等使いやすい循環バスをめざします。和光市公共交通研究会において市民の皆様から丁寧な調査研究による改善案をいただいたので参考とさせていただきます。まずは現行予算の範囲内で検討を進め、その後バス利用が困難な地域に対する新たな移動手段の導入に係る費用も併せて総合的に判断することとなります。和光市地域公共交通計画のパブリックコメント終了後、今年度中に和光市地域公共交通事業者部会を開催し次年度に向けた協議を開始、あわせて市民からの意見聴取やバス車両による試走等を行い、令和4年度中にコースやダイヤ等運行見直し案をまとめます。その後パブリックコメントを経て最終的な見直し計画を策定し、国土交通省関東運輸局への申請や周知期間を経て、令和5年度中の運行開始となるスケジュールを想定しています。

Q:

 市長公約にデマンド交通(利用者の事前予約に応じて運行経路やスケジュールを合わせて運行する地域公共交通)等により循環バスを補完する交通手段の拡充を挙げておられますが、実行するまでに令和4年度からさらに1年半近くの時間がかかることになります。今交通手段を必要とする多数の方々への対応を伺います。

A(市長):

 この度の改定は大きな変更となるので、周知期間を十分に取りたいと考えています。見直しまでの暫定措置として公共交通空白地域の高齢者を対象に、福祉施策と連動してタクシーチケットの配付等の移動支援を早期に行ってまいりたいと考えています。

Q:

 デマンド交通については地域により導入実態は多様です。当市では地域の環境からどのようなイメージで考えているのか伺います。

A(建設部審議監):

 デマンド交通を含む新たな移動手段を検討する地域は、路線バスと市内循環バスのルートでカバーできない地域となるので、対象地域が決まった段階で当該地域にお住いの方々の要望等を調査する予定です。持続可能なものとなるよう、乗り合いの利用を多くするため利便性を多少制限することも含めた制度設計が肝であると考えています。十分な試行期間を設けて当市の地域特性に合う形を検討する必要があると考えています。

Q:

 今市民が必要とする施策と、将来にわたるまちづくりや市民の福利をともに考えていかなければならない局面にあって、MaaS事業の意義、今事業を推進していく必要性、和光版MaaSの実装により住民の移動の利便性が具体的にどのように変わるのか、改めて説明をお願いいたします。

A(建設部審議監):

 和光版MaaSは、交通弱者を含むすべての市民の移動の自由の確保を目標に、路線バスや循環バス、タクシー等多様なモビリティ移動手段を先進技術を活用して最適に組み合わせ、検索、予約、決済を一括で行うサービスであり、福祉施策として検討しています。和光市では、狭隘道路に路線バスや市内循環バスの進入が困難な地域や、外環側道での慢性的な渋滞発生等、十分な公共交通サービスを提供できていない地域があります。これらの問題を解決するためには、沿道にお住いの方々の貴重な財産である土地の一部を買収させていただくことになり、多額の財政負担と数十年の歳月が必要となります。和光版MaaSにおける自動運転サービスは、用地買収することなく既存の道路空間を活用して、市北部の外環側道部分に公共交通の軸となる自動運転車両の専用レーンを整備し、外環側道に定時性をもたらすとともに、先進技術である自動運転技術と多様なモビリティの連携により各地域に効率的な移動を可能とするものです。またすでに影響が出始めている路線バス等の運転手不足の問題が将来深刻化し、路線廃止や減便等が行われる状況になった場合に速やかに対応できるよう備えるものです。

Q:

 和光版MaaSについて、初期コストの将来における回収見込みを伺います。

A:(建設部審議監):

 北インター周辺の事業所への通勤に際し、自動運転サービスを利用してもらうことにより、安定した運賃収入が見込めるものと考えています。また自動運転サービスの導入により、交通の利便性を高めることで、北インター周辺地区の企業誘致にも効果があり、固定資産税の税収につながる可能性もあるものと考えています。また新倉パーキングエリアの地域振興化が決まれば、施設利用者の運賃収入も見込めると考えています。

 

◆会派「新しい風・希望」の懇談会は、新型コロナウイルスの感染拡大状況を勘案し、残念ですが今回も開催を見送ります。皆様、どうぞお体に気をつけてお過ごしください!

 

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